ガイドブックには観光スポットしか紹介されていないけれど、間違いなく沖縄の魅力のひとつに美しいサンセット・ビーチがある。中部エリアの左側は、絶好の夕陽スポット。
二日目の夕方、北谷(ちゃたん)町のホテルにチェックインしたあとはビーチサイドまで散歩した。夕暮れ時が近づくと、どこからともなく人が集まってくる。このあたりは米軍関係者の住居が多く、ビーチには外国人が本当に多い。欧米にいる錯覚が起きる。停めてある車両はほとんどYナンバー。
思えば、東京に来てから水平線に沈んでいく太陽を見たことがない。夕陽は毎日見ているはずなのに。
短い時間でグイグイと水平線に溶け込んで、最後の最後まで粘るように沈み切らないで色彩を深めていく夕陽を毎日見ることができるなんてなんて素敵なことなんだろう。ここに来て、「夕陽」を見るためにイビサ島に行く人の気持ちが分かったような気がする。
俺が思い出したのはランボーの詩だった。
またみつかった。
何が、永遠が。
海と溶け合う太陽が。アルチュール・ランボー/小林秀雄訳
思い返せば、旅先で息を呑むような美しい光景は夕陽だったにも関わらず、感動するのはその瞬間だけで後に残っていなかった。
北谷で見た夕陽のおかげで、今まで見てきた夕陽の認識が塗り替わったような感覚を覚えた。これまで見てきた夕陽がすべて愛おしくなるような。