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fahrenheitizeのブログ。

Macのライブ変換は日本語タイピングの革命だと思う。あと、親指シフトを習得したきっかけ。

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俺自身は社会人になりたての頃に、勝間和代さんの著作で存在を知っていたが、習得が面倒くさそうだったので放置していた。色々思うところがあり、今年の2月に基礎練習を開始し、4月下旬にすべてのシーンで親指シフトに本格移行、現在は完全にマスターしているので、この機会に書いてみようと思う。

 前々回のエントリーで「思うところがあって」と書いた件になる。

 それは日本語がタイピングと相性のわるい言語であるということに気づいたことだ。別の言い方をすると、英語圏の人に比べてハンデを背負っているということだ。

日本語をタイピングする際の二重変換

 文章を書くときにはローマ字で「語」を入力して、単語・句を作っていき、適切な「かな漢字混じり」の文章に変換する。特殊な入力方式を使っている人以外は例外のない行為だろう。

 つまり日本語は文章の生成に、

ローマ字
 ↓①
日本語
 ↓②
意図に沿ったかな漢字混じりへの変換

という二段階の変換行為を要するということだ。

 英語圏の人にこんな苦労はない。キーボードに表記されたものをそのまま打ち込めば、適切なWordからSentenceまでを生成することができる。まぁ、Word毎にスペースキーを押さなくてはいけない事情はあるが……。(それゆえに日本人には変換時しか必要のないスペースキーがデカい)


 パソコンを使い出して10年以上、「そういうもんだ」という認識のもとに疑問を持たずにこのシステムに従っていたわけで、特にGoogle日本語入力はかしこいので、漢字への変換もあまりストレスを感じていなかった。固有名詞にもかなり強いし。


 きっかけは今年の頭にMacのOSをEl Capitanにアップデートした際に、「ライブ変換」が有効化されたこと。

 これはスペースキーを叩くことなく、リアルタイムでかな漢字混じりに変換してくれる機能だ。自分にとってこれがターニングポイントになった。ローマ字でタイピングしていくだけで、勝手に(ほぼ意図した)漢字に変換されていくのだ。

 ちょっと想像がつきにくいかもしれないけど、以下のデモを見てみるとすぐに分かります。

 最初は違和感を覚えたが、すぐにヤミツキになり、これは日本語入力の革命だ!と一人でテンションを上げてしまった。今でもそう思う。いかに自分が「漢字への変換」という行為に、脳内メモリを食われていたかに気づかされたからだ。かな漢字混じり変換が必要ない英語圏の人たちはすげー楽してるな、と。

 Google日本語入力やATOKのかしこさは、「単語」あるいは「単文節」における変換精度である。これは書いている文章をブツ切れ状態にしていることに他ならない。「文章」を書いている過程で、かな漢字混じり変換という本来は不要な作業が割り込んでいるからだ。純粋に「書く」という行為に没頭できない。ほんと、日本語入力って長らく「そういうもんだ」って感じだったんだけど。。

 なお、「ライブ変換は音声入力技術の布石だと思う」と言っていた人がいるんだけど、まちがいなく関係しているのは感じる。最近の音声入力の精度はかなり高い。

「かな」を「かな」で打ち込んでいく、一音一打鍵への希求

 そして書籍の仕事が1月末に終わってからは、ローマ字入力を捨てて、親指シフトを習得することにムクムクと興味が湧いてしまった。

 俺はとことん楽をしたい人間なのである。漢字変換を免除された快適さが、ローマ字入力を排除する欲求につながったということだ。

 二段階必要な変換作業の②が免除され、①も免除された世界になれば、頭の中にある文章をディスプレイに表示させるためにつきまとう日本語をコーディングしているような感覚が消滅するのではないか?という仮説だ。もっと快適な入力方法が実現できると体感してしまったからには、現状に我慢できない。できない。できない。しゃべるように書いてみたい。

 
 日本語を日本語のまま打ち込み、それが自動的にかな漢字混じりに変換されて、文章が生成される環境を手に入れたい。これが骨董品になってしまった親指シフト入力への探求のはじまりである。


入力比較アニメーション | NICOLA 日本語入力コンソーシアム

 上記のリンクは「まったく同じ速度」で親指シフト、かな入力、ローマ字入力を行った時の速度比較である。(実際のところは親指シフトは1アクションが複雑なので、こういう結果にはならないと今でも思っているけれど。)
 
 親指シフト入力に完全に切り替えて数ヶ月が経過した今となっては、文章を書くときの疲労が顕著に減り、速度が明らかに上がった。目論見は成功したわけである。

 ただし、これはアウトプットの質とは別問題で、ローマ字入力でも、通常の変換でも、面白い文章を書いている人はいっぱいいる。パフォーマンスが省エネになるけど、パフォーマンスの質が向上するわけではない。


 俺は一部の人には強烈に親指シフトとライブ変換をプッシュしているのだけれど、他の人にはそれほど薦めてはいない。そこまで文章を書く道具にこだわる人は少ないからだ。
 ただ、文章を書くときに「思考はまとまるが、手を動かすのがダルい」って人は、興味が出たら試してみてほしいなって思う。両方とも、数ヶ月で完全に慣れますよ。

【ラクで爆速】親指シフト入力を習得するメリットを俺なりに書いてみる。 - My Favorite, Addict and Rhetoric Lovers Only

【スキル習得】親指シフトの練習方法と必要な期間、感覚的なプロセスの推移について。 - My Favorite, Addict and Rhetoric Lovers Only

 一昨日から親指シフトに関するまとまった文章、そして今日はライブ変換についての文章を書いてみた。これを読んだことですぐさま切り替える人はいないと思う。けど、何かのきっかけで親指シフトとライブ変換に興味を持った人には、それなりに有意義な情報を与えられると確信している。いつかそれを目的に再訪してくれる機会があれば、最高だ。

ライブ変換についてのTips

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 そういえば、世間ではMacのライブ変換はわりと不評なようだ。

 大体の意見は①漢字の変換精度が悪い、②スペック・あるいは長時間の使用で挙動がモタつく、というあたりのようだ。

 ①についてはベースになっていることえりが文節単位ではなく、句読点まで一気に打って変換することを前提(文脈を判断して変換)にしているので、打ち込んでいる途中の段階では、変換の精度がぬるく見える。また、入力の履歴を愚直なまでに学習させるGoogle日本語入力やATOKのような即時的なパーソナライズはされない。

 我慢して、最低でも「、」まで打ち込んでみてほしい。固有名詞や、自分独自のカタカナ使い以外に関しては、意外なほど高い精度で変換してくれる。また、調教することでどんどん精度は上がっていく。(間違えているときは対象のものだけ「かなキー」を二連打すれば再変換でき、それが学習される)

 固有名詞の問題は辞書登録しまくることでクリアするのが良いらしい。その点はGoogle日本語入力のかしこさに依存していた俺も不慣れな運用方法なので、今後ためしていきたい。なお、iCloud経由で登録した単語がiPhoneに反映されるのも、嬉しい点である。


 ②についてはおそらく、入力途中のローマ字が漢字変換機能に干渉していることが影響している。これも俺にとっては、親指シフトへの移行を後押しした理由になる。

 これはスペルチェック機能を無効にすることで緩和される。また、使い続けることで挙動が重くなっていく点については、アクティビティモニタから日本語入力プログラムを強制終了するのが即効性がある対策になる。

 なお、ライブ変換に慣れたあとは、是非とも「推測候補」の表示をオフにしてみてほしい。入力中の文章の下にチラつく変換候補が消えることで、視覚的にも快適になります。

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 こんな感じ。スペースを一切押さずにつらつらーと文章を書いていくことができます。

ライティングの参考文献