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桐谷ヨウ@blog

桐谷ヨウのメインブログ。恋愛・コミュニケーション・海外・文章を書くことについて。


あの頃、俺たちの、サードウェーブコーヒー。

コラム・エッセイ

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一昨年、NYでサードウェーブコーヒーが流行し、今年になって清澄白河にブルーボトルコーヒーが出店され、行列が出来ている写真をSNS上で見かけ、最初に思ったことは変な意味ではなく「こうやってサードウェーブコーヒーも消費されていくのかな?」だった。

その後、サードウェーブ系男子なる言葉も生まれたものだけど、そもそもサードウェーブって何だよ…。

大量消費時代の波にのせた最初のコーヒーの普及、深煎りをラテで提供するシアトル系のセカンドウェーブ、「それ以後」ということらしい。

まぁ語源はどうでもいいのだけど、サードウェーブコーヒーは産地やルートにこだわった浅煎りの珈琲豆をハンドドリップで提供するチェーン店ではない形式が何となくイメージを輪郭づけている。そしてスターバック”ド”(=スターバックスはダサい)が文脈にある。
(Twitter創業者のひとりのジャック・ドーシーがSquareを広げるためにコーヒームーブメントを仕掛けたという話もあるらしい。)


さて、書きそびれて半年以上経ってしまったけど、自分が「サードウェーブコーヒー的なもの」を経験したことを思い出していた。

自分が大学一年生、2004年頃はまだスターバックスが「オシャレ」で「イケてた」時代だった。フラペチーノを疑いなく美味いと思っていたし、あの透明のカップに緑のストローがなんか良い感じに見えていた。


当時、自分が大好きだった友人はオーストラリア留学から帰国枠で入ってきた奴で、お洒落で、粋な奴だった。この時期にもっとも影響を受けたうちのひとりだった。彼とキャンパスで交わすおしゃべりは、上京して間もない自分にはたまらなく楽しく、刺激的な時間だった。

そんな彼と授業をサボってお茶に行くときは、カフェブームで出来た類のカフェではなく、純喫茶だった。


大学にほど近い場所にあるそこは、お洒落ぶりたい大学の友人たちは決して入ろうとしない場所で、まぁいま思えば客観的に派手な部類の見た目をしている二人組で入ることにひねた優越感(あえてこんな所に入っちゃう俺ら的な大二病)を持っていた感じがしないでもない。


その純喫茶の魅力は押し付けがましさのなさだったように思う。


店内に入ると珈琲の香りが立ち込め、厳選した「今日の珈琲豆」を売っている。店員の人はゆるい雰囲気をかもし出している。混雑しているわけでも、閑散としているわけでもなく。近所のやや高齢の方たちが数名でおしゃべりしていたり、新聞を広げてひとりでくつろいでいる人もいる。

その空間ではそれぞれの時間が流れていて、友人との社交の場として機能しているし、おひとりさまを楽しめるゆとりもあれば、美味しい珈琲豆を買いに来ることだけが目的の人も許される場所になっていた。

小腹をすかせた大学生の俺らは、よくそこでたまごトースト(卵が絶妙にふわふわだった)かホットドッグ(こちらは特に個性がなかった)を頬張りながら、「単位やべぇ」から始まって、最近あった浮ついた話をしていたのであった。


自分はいまでも折につけて純喫茶に入るようにしているのだけど、これはこの当時の経験が大きい。厳密には、別にチェーン系であろうとそれぞれの時間が流れているんだけど、何かが違う。
(ちなみにヴェローチェがいちばん好き)

その何かを言葉にするのは難しいのだけど、日常の延長のコンビニエンスの先ではない「隙間」に入り込めるような体感があるのだと思う。それは昭和的な空間がもたらすノスタルジーなのか、予想できる珈琲の味ではないからなのか、客層が普段見かける層とは違うからなのかは、分からないのだけど。


先日、近所を散歩していたところ純喫茶を見つけたのでふらっと入ってみると、秒針が鈍く控えめにリズムを刻む場所で、これまたまったりとした時間と空間を提供してくれる場所であった。

マスターに話しかけてみると「珈琲詳しいの?」と聞かれたので「詳しくなりたいです。」と返すと、喜々として超初歩的なことから教えてくれたのだった。すいません…次からはもっとググッておきます…。


珈琲に興味を持てば持つほど、ワインのように深く、難しく、面白そうだなぁと思う。「通ぶりたくねぇな」という変な自意識も芽生えるのだけど、アルコールにさほど興味がない自分には、ワインよりも楽しめそうな趣味な気がしている。コピ・ルアック。


この雑誌を見ているとサードウェーブコーヒーが日本の「純喫茶」カルチャーびいきで生まれたと知って、すごく腑に落ちたのだった。願わくば「コーヒー界のアップル」とは別の文脈で根付いてほしいなぁと思う。
ちなみに有名なブルーボトル以外のオススメも掲載されてます。