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桐谷ヨウ@blog

桐谷ヨウのメインブログ。恋愛・コミュニケーション・海外・文章を書くことについて。


二村ヒトシさんにお会いした夜のこと

コラム・エッセイ

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数ヶ月前、二村ヒトシさんと初めてお会いした。にゃんきちったーさん(id:nyankichitter)が引きあわせてくれたかたちになる。

待ち合わせの新宿の居酒屋に行くとすでににゃんきちったーさんは来ていて、挨拶を交わした。当たり前のことながらすごくきちんとした方(彼女はバリキャリ女子)で、ひとことふたこと言葉を交わしただけで好きになった。

まもなく二村ヒトシさんがあらわれた。キャップをかぶった笑顔の人、それが二村ヒトシさんだった。


お会いすることが決まってから、約束の日まで俺が思っていたのは「どういうスタンスで会おうかな」ってことだった。

二年前に二村さんの著作を読んで感銘を受けた自分は、やっぱり「くだらない奴」だと思われたくなかった。ちょっと格好をつけることも考えたんだけど、直前になって背伸びをしてもしょうがないなって思った。二村さんからすれば俺なんか20も下のクソガキだ。

普通に行ってくだらないと思われればしょうがないことだし、彼が面白いと思ってくれた俺の原稿が、俺自身のキャラを知ることで底を知ったとしても、あれを書いてるのは紛れも無く俺なんだという気持ちで腹をくくった。


そんな気持ちをよそに、当の二村さんは非常にフランクな方だった。失礼を承知で本人に言ったのは「陽気なオッチャン」。ハイテンションでどんどん空気を軽やかにしてくれる人。


二村さんとはその後も何回かお会いさせてもらったのだけど、印象的なのは人の話を聞く目。本当に本当にやさしい。じっと相手の目を見て、やさしく受け止める。培った技術だけでない、本質的な人間性が優しいことをすごく感じて、自分に向けられたときは濡れる。あれは(ああいうのが好きな人には)まちがいなくモテる。


それでいて、返す言葉はマイルドな口調でエグいことを突き刺す。純粋な二村さんの興味か、自分のなかの仮説を確たるものにするためか、両方か、それが相手を開放させていく。その眼差しはいつだって相手の心のクセ("心の穴")に向いている。


お会いした夜、居酒屋でそれなりに喋ったあと、知人がゴールデン街の担当の夜とのことで、その店に向かった。二村さんと旧知の仲の"りえさん"というライターの方と合流して彼女が出されたアナル本をかるく読ませてもらう。(真剣な良い本でした。)

先にお店で飲んでいた若いカップルの彼氏の方が、二村さんの『すべてはモテるためである』を読んでいたらしく、二村さんにサイン本をもらっていた。(俺が欲しかったわ!)

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途中でカラオケをする感じになって、俺とか「前にカラオケ行ったのいつぶり?」だったのでテンション全然上がらないわ、全然声出ないわだったんだけど、二村さんとりえさんは1曲目から全開のテンションで歌っていてさすがだった。

俺はわりとマジメににゃんきちったーさんと話をしていて、「若い方はマジメだね」と誰かが言ったら二村さんは「男の方は下心あるけどね」と。いや、俺、いまもにゃんきちったーさんと未セクですよ。


直接お会いして本人から聞いたことをそのまま書けないので、少しズラして書かざるをえないんだけど、俺は彼にとって"通過した自分"でしかないんだろうなって感じた。

それは「君がまだセックスしたいのは、愛されたいだけなんだ!」とマイクを持ったまま指摘されたり、「君には冷たいかもしれないよね。それだけ自分に似てる部分を感じるのかもしれないね」という言葉で分かる。


そして、二村さんは「心の穴がない人はいない」という前提に立つ。その自覚がない人は何かをごまかしている、と。


俺はそれが実感できない。実感しえない以上、当たっているかいないかなんとも言えない。最近になって"家庭環境が産む自他の心の穴"をきちんと見つめてみることにしているんだけど、自分自身はそこに対する不全感を自覚しえないし、自分が接する女の子はそれを持っている子もいればいない子もいる。

自分の不全感が誰かに惹かれる、誰かを引き寄せる媒介になっているかが本当にわからない。"ない"ことを言い切るのは本当に難しい。そこには"自覚がないだけ"という疑念がつきまとう。


今後、二村さんは「心の穴の自覚」の先にある恋愛の解をさぐっていくのだろうか。個人的にはそれをすごく見たい。そして、それが自分の恋愛観と違う角度から、重なるものだったらすごく嬉しい。

俺自身がもっとたくさんの経験をした上で、それでも思う恋愛観と二村さんの恋愛観が重なっていたらそれ以上のことはない。もちろん違っててもいいんだけれど。


最後に二村さんの口から聞けてすごく嬉しかったのは、女性に対する発信の最初のモチベーション。

俺は「なんでお前らはこれが分からないんだ?だから同じことを繰り返すんでしょ?気づけよ。」という"憤り"だった。

二村さんもそういった気持ちがスタートにあったみたいだ。男の目線から女に本気で語りかけられうる強度のある言葉なんてそれしかないと思う。だから「この人、私のことを理解してくれている」なんて思っている女性は考えなおしたほうがいい。本当の意味で男は女を<理解>しえないから。

今、二村さんと俺が感じていることも(おこがましいながら)近そうなんだけど、まぁそれはオフレコ。


ともあれ、二村ヒトシさんは魅力的な方で、会ってからは否が応でも色々なことを考えさせられることになった。

そして色んなことを感じ、悩みながらも、あんな風に軽妙に振る舞える大人になっていきたいなぁと思った。


ちなみにゴールデン街で会った彼氏の方には別れ際、「来年あたりには、俺とここで会ったのがすげーラッキーだったと思わせるから!」と言っておきました。