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桐谷ヨウ@blog

桐谷ヨウのメインブログ。恋愛・コミュニケーション・海外・文章を書くことについて。


中村うさぎ『私という病』〜女にとっての幸せは何か?男は女にどう向きあうべきなのか?〜

レビュー レビュー-書籍

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どうして私は、女であることを、
おおらかに正々堂々と楽しめないのか?(本文より)

今日のエントリーは完全に女の人に向けたものです。俺はこの中村うさぎのエッセイは、「女として生きていくこと」に少しでも悩んだことがある女性の助けになると絶対に思っています。そして、男達も絶対に読むべき一冊だと思っています。


・結婚して家庭のなかにおさまること
・社会でキャリアウーマンとして働いていくこと
・若く、美しくいたいと思うこと
・老いていくこと、衰えていくこと
・姫として扱われたいと思う私、自立した強さを持ちたいと願う私の不一致。
これらのキーワードに悩んだことがある女性は絶対に読んでほしい。絶対に時間の無駄にはならないと思います。

女は男の従属物では決してないし、また誰とも関わらないことで幸せになれるわけでもない。加えて、そこに女性蔑視や男女平等という社会的な文脈が絡むことで、問題をややこしくしている面がある。この本はひとりの女性が徹底的に女性の立場で考え抜いた過程を深く、赤裸々に描いたものです。

中村うさぎ、この人の一般的なイメージはお買い物と整形依存症でしょう。そのあとはホスト狂いになり、中年女性としての価値を確かめるためにデリヘル嬢になります。 この本はそのデリヘル体験本なんですが、体験談は1章のみ。そのあとは中村うさぎの「女とは?」という自問と社会への警鐘が非常にロジカルに書かれていきます。

本当に素晴らしい内容だった。自身の体験と一般論をからめながら、お得意のユーモアを交えながら進めていくエッセイに本をめくる手が止まらなかった。この本を読むと、奇行癖や原稿のネタ探しをしているように見えていた中村うさぎの印象が変わっていきます。

それは肥大する女の自意識がブラックホールに変容して、それに飲み込まれて行った彼女の様子がまったく不自然じゃないことが伝わってくることに他ならない。 それは(男の俺に語る資格があるのかは疑問ですが)ある地点で悩むことをやめた女性には見ることができないものなんじゃないでしょうか。

実はこの本はSNSのレビューで先に書いていて、それを見た友人の女性3名が実際に買って読んだみたいです。その全員がこの本を絶賛していたのがその証明だと思ってます。彼女らの共通点は、容姿は人一倍優れているけれども、それだけで自分を評価されるのもまた許せない、というマインドを持っていること。もちろん先に挙げた他のキーワードが気になった人も、同じようにページをめくる手が止まらなくなるような経験をしてくれると俺は確信してる。

さて、これを読む男はどうなのか?あとがきにも書かれているように「じゃあ、男は女にどう接すればいいんだ?」と問いたくなるだろう。ただ、それに対して俺の回答は出ている。ひとつの方法はこんな自問を持たない女性と関わること。もうひとつの方法は、女として相手を愛でるでなく、一人の人間として愛でるでなく、それ以外でもなく、そのすべてを自分自身の存在すべて(実存)で打き抱えて真摯に対峙することなんだと思う。それだけでしか、理屈を越えて女性に納得、充足してもらう方法はないと俺は思っている。

ひとつ余談を。別のエッセイで中村うさぎが書いていたんだけれど、宮台真司がこんな言葉を言ったらしい。

「自分と社会の関係が上手くいかないときに女は自分を変えようと努力し、男は世界を変えようとする」
憎たらしいほど的確な箴言で、女性の可愛らしさと強さ、そしてそれとは別種の、男の時代を越えて変わることがない憐れなナルシズムとヒロイズムを上手く言い当ていると思う。

エッセイストとしての中村うさぎの凄腕っぷりが分かる著作。日常を面白おかしく書く手腕が素晴らしい。気楽にソファーで寝っ転がりながら読むのにオススメ。